これから福祉の世界で働きたいと思っている方へ
この記事では、社会福祉士の仕事内容について解説していきます。
社会福祉士は、国家資格です。
受験し合格しなければ、社会福祉士になれません。
あなたの周りに社会福祉士だと名乗ってお仕事をしている人がいますか。
福祉施設で、利用者の方やさまざまなお客様と接し、てきぱきと働いている人が、実は社会福祉士だったということがあります。
頼りにされているようで魅力的に思えてきますが、いったいどんな仕事をしているのでしょう。
気になりますよね。
では、社会福祉士の仕事内容を知り、あなたが働きたい福祉の場でその資格をどう生かせるか探っていきましょう。
社会福祉士とは
社会福祉士は、専門的な知識とスキルで相談援助を行い、さまざまな困り事に解決策を提案していく役割があり、人と人、人と場所をつなげるスペシャリスト「SSW（ソーシャルワーカー）」とも言われています。
つまり社会福祉の専門職として、身体的・精神的・経済的に障害のある方々や療育を必要とする子供たち、また高齢者の方々の困りごとに向き合い、相談にのります。
そして、日々の暮らしを 不安なく過ごせるように援助をしていくことです。
社会福祉士の仕事
さまざまな福祉の職場で、社会福祉士という職種があるわけではありません。
どんな職場でも、社会福祉士としての資格を生かして携われる業務があるのです。
社会福祉士の仕事を一言で言うと、「相談援助」です。
たとえば、障害があって働けないと相談を受ければ、障害者が働ける場所を調べ、その方にあった就労場所を提案します。
住むところがないと相談を受ければ、公的機関への橋渡しをし、住めるところを見つけていきます。
何らかの困りごとの相談にのり、解決にふさわしい落としどころを探ります。
そして、関係するところとつなげ、相談者の困りごとがなくなるために必要な支援をするのです。
社会福祉士の仕事である「相談援助」は、3つの重要な業務「相談」「連携」「支援」があります。
社会福祉士及び介護福祉法第1章総則第2条では、社会福祉士の業について定義しています。
それではこの3つの業務を一つずつ見ていきましょう。
「相談」業務
福祉サービスを受けている方々の中には、障害者、介護の必要な高齢者、児童とその保護者などがいます。それぞれが悩みを持っており、少しでも生きづらさを解消したいと願っています。相談者の悩みを聞くとともに気持ちに寄り添い、解決へと導くのが相談業務です。
高齢者・障害者
介護施設で生活する高齢者の方からは、サービス内容についての相談があります。どんなサービスを受けたいのか具体的に聞き、実施へ向けて施設管理者や職員に働きかけをしていきます。
身体や精神に障害のある方からは「障害はあるが働きたい、別の仕事を探したい。」などの就労に関する相談があります。現在の生活について話を聞き、どんな働き方を希望しているかを把握します。そして、働きたい場所の紹介や、関係機関などに代理で相談に行くこともあります。
また、身体や精神的な症状に変化がある時には、必要であれば病院受診に同行することもあります。
高齢者や障害者の相談業務を見てきましたが、今度は児童の場合を見ていきましょう。
児童
18歳までの障害児の場合は、児童本人だけでなく保護者も悩みを抱えています。
「わが子の障害は何なのか知りたい、学校との関わりをどうすればいいの?」
「児童発達支援、放課後等デイサービスを利用するときは、どんな療育を選べばいいの?」などなど。
未就学から小学校、中学校それぞれの成育状況に応じて相談があります。
医療機関、教育機関、市役所などにつなぐことで、子どもの発達支援を促していきます。
その他
地域に住み、生活が困難で生活保護を受けたいという方の場合、申請の仕方を具体的に説明し、申請できるようサポートします。
また、高齢者や知的障害者の方々に付き添い、公的サービスを受けられるようアドバイスや代行するときもあります。
このように、日頃の生活の中で生きづらさを感じている方、その家族を含めて相談に応じ、解決方法を提供し、福祉事業所だけでなく、他機関への働きかけも行います。
「連携」業務
社会福祉士は相談を受ける窓口になり、利用者やその家族から生活・就労・利用内容などの相談に応じたあとは、具体的にどのように解決していくかみていきましょう。
相談者が本当に望んでいることは何か、その方の生活状況や願いを把握します。そして、実際にサービスが受けられるように、必要な手続きや働きかけをしていくことになります。
これが「連携」。
人と人、人と場所をつなぐ役割ですね。
サービスを提供する側には、公的なところを含め、たくさんの福祉事業所があります。
医療、教育、行政機関や相談支援事業所、また介護施設や就労施設、児童通所施設など。
社会福祉士はつなぎ役として調整を行います。
障害者が自分で生活することが難しくなったため、グループホームを利用したいと相談があれば、社会福祉士はご家族の考えもうかがい、相談支援専門員に生活状況やご本人・ご家族の希望を伝えます。その方にとってグループホームで生活することが適していると判断した相談支援専門員は、具体的にグループホームを探し、紹介します。
こうして、社会福祉士から相談支援専門員、そしてグループホーム事業所へとつながり、利用することができるようになりました。
さらに、サービスを提供できたら終わり、ではありません。
相談者への支援は継続し、状況把握を行うことで、見直しや調整を行っていきます。
このように、解決への行程を想定し、誰につなぐのがもっとも適切かを判断するために必要な専門的知識と判断する力を持つ者が社会福祉士というわけです。
「支援」業務
相談・連携業務だけでなく、職場によっては、スタッフとして介護や生活支援、指導員として直接利用者に携わり支援することも多いです。
支援の時間をどれだけ行うかで、一日の仕事の流れは違ってきます。
一例として
午前中は相談や案件ごとの事務作業、また連携先との連絡や話し合いなどを行う。
午後は、利用者と関わり、実際の生活や心身の様子を見守りながら支援を行う。
職場によりその内容や職種が違い、支援の仕方も違いますので、次の章で具体的にみていきましょう。
社会福祉士の現場の仕事内容・職種
社会福祉士は現場で働くことで、利用者の体や心、生活の仕方などの状況が分かり、利用者の困りごとをよく理解でき、適切な対応ができるようになります。
では、現場ごとの仕事内容と職種を紹介します。
高齢者施設
有料老人ホームや特別養護老人ホーム、保健施設、デイサービス等では、相談員として相談に応じるだけでなく、生活支援員として、入浴・食事・排泄等、生活全般の介護をします。
レクリエーションで楽しみながら笑顔を引き出し、話し相手となって、不満や悩み事を打ち明けられるようになり、問題解決へとつながったケースもあります。
障害者施設
障害者の種類、身体的・精神的・知的障害に応じて、相談援助内容は変わりますが、利用者
が自立して生活していけるよう支援を行います。
生活介護施設では、生活支援員として、介護を含め、掃除や洗濯、レクリエーション等も幅広く支援をしていきます。日々の生活の中で利用者と向き合い、相談事に応じていきます。
就労継続支援（A・B型）事業所では、生活相談員、生活支援員として、生活のサポート、施設の入退所の手続きや、家族との連絡調整なども行います。
作業指導員や就労支援員として、利用者が働く場所で作業の仕方を指導したり、職業脳力の開発訓練などにも携わります。
グループホーム
世話人として、高齢や身体的障害のある方へは、食事・入浴・排泄の介護をします。健康・服薬・金銭管理など一人で生活するうえで困難になった部分を支援していきます。
できることは自分でしてもらい、自立した生活を送れるように支援していきます。
児童福祉施設
身体的・精神的・知的・発達障害をもつ子供に、児童発達支援施設、放課後等デイサービスで、児童指導員として子供の療育にあたります。
その家族が抱える課題にも、障害に関する専門的な知識や療育指導を具体的に示し、解決策を提供していきます。
児童養護施設では児童指導員として、18歳まで生活する子どもの生活をサポートし、健全に成長していけるよう指導していきます。また、家庭支援相談員として、家庭復帰や里親制度、施設退所後も支援を行います。
学校
社会福祉士はスクールソーシャルワーカーとして、子どもの非行・問題行動などの相談に対して、子どもの家庭環境の改善に取り組みます。医療や教育機関、児童相談所など行政機関、福祉施設と連携し、担当者会議を開催し、問題解決をしていきます。
医療機関
病院内で医療ソーシャルワーカーとして、患者やその家族からの相談に応じます。
患者やその家族と信頼関係を築きながら、社会福祉の立場で治療や入院に関する経済面・精神面の問題を解決していきます。支援制度を紹介することもあります。
退院後の療養生活についても安心して生活をしていけるよう、退院調整を行います。
社会福祉協議会・地域包括支援センター
社会福祉協議会は、一般的に市区町村の「社協」と言われる組織です。
社会福祉士は社会福祉法人の職員として、地域に住む高齢者や障害者の方々への生活をより向上するための支援を行います。地域の役員や民生委員の方々と連携をとり、地域の方々のよりよい暮らしへとサポートします。福祉教育の広報活動や福祉関係者への研修、ボランティア活動事業なども実施しています。
生活福祉資金事業や生活困窮者自立支援制度は、市町村が窓口となりますが、社協の仕事として扱っていることが多く、社会福祉士の福祉専門知識を活かせます。
市町村が設置主体である地域包括支援センターでは、地方公務員の職員です。地域に住む高齢者やその家族からの相談に応じます。
介護・保健・医療・経済的な困窮など、その内容により保健師やケアマネジャーと連携し、包括的に支援を行います。
司法関係機関
刑務所、少年院では福祉専門官として、出所者の受け入れ先を確保し、再犯防止に努めていきます。
保護観察所では、社会復帰調整官として、社会復帰を促進するために、生活環境の調査や調整、保護観察を行います。
社会福祉士の仕事に向いている人
・コミュニケーションが好きな人
あなたは、人とコミュニケーションをとることは好きですか？
社会福祉士はさまざまな人から相談を受けます。一人一人に丁寧に接し、適切な受け答えをしていくことが大事です。面談は何回もあるでしょう。日頃の会話の中から心の中にしまいこんだ思いを汲み取り、支援につなげていくこともあるでしょう。
日頃から人と接し、雑談したり意見を交換していくことが好きな人には社会福祉士の適性があるかもしれません。
・チームプレーができる人
社会福祉士はさまざまな職種や機関の人と連絡を取り合い、調整していく仕事です。相談者に最も適したサービスを提供するために、各機関や福祉サービスを結びつける役割です。
互いを信頼し合える関係が築けて、パートナーと協力し合える人は社会福祉士に向いているかもしれません。
・柔軟さがあり、気持ちの切り替えができる人
自分の提案が最善と思っていても、相談者がどうしても納得しないかもしれません。相談者の希望をかなえられないことを告げるときがあるかもしれせん。
心が折れそうになりますよね。
1つのことに固執せず、こっちがだめならあっちはどうだ、くらいの気持ちで気持ちを切り替えられる人は、困難に屈しない社会福祉士になれるでしょう。
・アンテナをはり、情報収集ができる人
社会福祉士は、つなぎ役でしたね。「誰」に、「どこ」につなげばよいかを見極めることが大事です。
お鍋のおいしいお店を知っていたり、おもしろい映画を勧めてくれたりする人は、友達から重宝されます。同じように、新しい制度や施設の開所・受け入れ状況など、常に情報をアップデートしていくと、相談者の思いに沿った解決策が生まれることでしょう。
周囲のことに興味を持ち、情報を収集、ピックアップしていくことができる人は、社会福祉士の仕事もこなせていけるでしょう。
まとめ
福祉分野のたくさんの職場、さまざまな職種の中に、社会福祉士の仕事があります。
どの職種についても、困りごとを相談する方の気持ちを汲み取ること、相手の立場に立って考え、最善の方策へと行動することが社会福祉士の仕事なのです。
家族が抱える課題も、地域を含めた地域福祉の課題としてとらえることも大切です。広い視野をもつことは、誰もが安心して暮らせる生活をつくろうという福祉の実践につながっていきます。
福祉の現場で働きたいと思うあなた、生きづらいと思っている方ひとりひとりに向き合い、支える力になれることは意義のある素敵な仕事だと思いませんか。
仕事にやりがいを見つけられる国家資格、社会福祉士を目指していきましょう。
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